今日はちょっと毛色を変えて、管楽器奏者とのレッスンを書きたいと思います。
レッスン、と言っても個人レッスンをしたわけではありません。
毎月教えに行っている学校が今年のアンサンブルコンテストに管打楽器8重奏で出場するので、そのグループへレッスンをしました。
その時の管楽器奏者とのやりとりをまとめました。
そのグループには今回で3回目のレッスンになるのですが、曲中のある部分で方向性が定まっていない様に感じ、そこの音楽作りについて話をしていました。
基本的にディスカッションは生徒さん達に任せ、出てきたものに対して僕の意見を加えた後、「こういうプランでいこう」って事になり音を出してみたのですが、その部分にある金管のソロがうまくいきません。
そこで話を聞くと、その部分のスラーの入り方が難しいという答え。
「全部スラー」か、「全部タンギング」なら演奏しやすいのに…と言うので、「楽譜と違ってもいいから、自分が一番吹きやすいフレージング」で吹いてもらいましたが、それでもうまくいかない。
この時点で想定する原因から舌を外します。
今度はフレーズを細かく分けて、吹いてもらいます。
・(ゆっくり)シ♭ドレミファ→問題なし
・ドレミファソ→後半の音がでない
このフレーズをさらに細分化し、
・ドレ、レミ、ミファ、ファソ→2音ずつなら問題なし
・ドレミ、レミファ、ファソラ→ちょっと怪しいが3音ずつも大丈夫
・ドレミファ→ファがかする
ここで、「上手くいくレミファ」と「上手くいかないドレミファ」を何度か交互に吹いてもらい、観察をしました。
この時に、4音続けた時はピストンを押さえる時に一番下まで到達していない事に気付き、その話をしたところ「指が短いから」という回答。
(他の場所は問題なく音が出てるので「指の長さ」も原因から外します。)
次に本当の指の長さの話をしたのですが、どうも既に知っているみたいでした。
これを意識に入れてもらって吹いてもらっても改善せず、困ったなーと思っている時に、音がかすれるあたりで肘がほんの少し下がる事に気付きました。
そこで、上行フレーズだった事もあり、音と一緒に腕全体があがってもいいと思ってもらいます。
サポートしつつ何度かやってもらうと、初めて楽譜通りの音が出ました。
ここからは後からの分析なのですが、ピストンが下まで下がらない事を気にして、腕全体を押し下げる事でピストンを下げようとしていたのではないかと推察します。
「ピストンを押すのは指の仕事」、腕の仕事は「楽器を持ち続ける事」ですね。
このように「自分が思っている原因」(タンギング、指の長さ)が「本当の原因」(腕の押し下げ)であるとは限りません。
なので、観察と推測、実験を繰り返して「本当の原因」を探す必要がありました。
今回は専門外の楽器に対するレッスンだったので、整理してみました。
専門である打楽器のレッスンではもう少し短いプロセスで済むことが多いですが、大体がこのような流れになります。(初心者や、新しい奏法へのレッスンはまた別ですが・・)