第7回 打楽器奏者のためのアレクサンダー・テクニーク研究会 〜Timpani-4台フルに使った楽器間の移動-編〜

IMG_1685-300x225第7回の記事も大きなものはこれで最後です。

今回は
・4台フルに使った時の楽器間の移動が上手くいかない
について書こうと思います。
※例によって座奏であることを前提に書いています!

これは研究会常連の池内さんのお悩み。
もっとスムーズに移動したいということです。

ここで考えたいのは、ティンパニの演奏において、楽器間の移動はどのようにして行われているか、という点です。

まずは隣同士の太鼓を移動する場合のことを考えてみましょう。

楽器間の移動というのは、つまりマレットヘッドを他の太鼓に移動させる行為のことですよね。

この時の体の動きはどうなっているでしょうか。

仮に右手を右から左に移動すると、
・二の腕を軸に肘から先の角度(向き)を変える
・体をわずかに左に向ける→右肩の位置が少し前に出て左側の太鼓に近くなる(左肩もわずかに動く)
という動きになると思います。

また、細かいパッセージの場合、右の太鼓はフレンチ・グリップ(親指が上)で叩き、肘から先を回して手の甲を上に向け、左の太鼓はジャーマン・グリップ(手の甲が上)で叩く、という人もいるかもしれません。

下手くそですが図を描いてみました↓

2016-07-07 04_31_10
あくまでイメージです。 実際の位置や大きさ、長さの比率はこの通りではありません。 そもそも人体に直線はありません(笑)

隣の太鼓に移るだけでもこれだけのことをしているんですね。
一つ飛ばし、二つ飛ばしで移動する場合は、これらの動きの幅や角度は大きくなります。

さて、ここで注意したいのは体の向きの変え方です。

中高生の演奏で、体全部の向きを変えているのを時々見かけます。
何故か彼/彼女らの多くはこの時ぴょん!と飛び上がって反対を向きます。(空中半回転ひねり?)
(ちなみに彼女らは多くの場合立奏です)
そして、「先生、移動が間に合いません!」と質問がきます。
思わず「そら間に合わへんわ」と言ってしまったのは一度や二度ではありません(笑)

もちろん、体の向きを変える充分な時間があり、1台、または隣り合った2台をしばらく叩き続ける場合、この方法は有効です。(それでも飛び上がる必要はないですが)
でも、素早く移動したい時には全くもって不向きですね。

では、両足の置き場所をそのままにして体の向きを変えるにはどうすればよいでしょうか?
*話を座奏に戻しますが、ある程度立奏でも同じです。

胴体をひねる
・股関節を使って胴体全体の向きを変える
・回転するタイプのイスに座っている場合はそれも利用できますね

この三つの動きを合わせることで足の置き場所を変えることなく体の向きを変えることができます。

ここでAT教師の山口氏がアドヴァイスしていたのが、動きたい方向に視線を動かして、それに体がついていくイメージを持つと感覚をつかみやすいのだそうです。
実際の演奏では楽譜や指揮者に目線を残したいですが、慣れてくればこれも問題ないそうです。

さて、スムーズに移動できるようになった池内さん。
動きが良くなったことで、音の輪郭がはっきりして、音程感も増したように感じられました。
動きの改善が音に影響するということが良くわかるアクティビティでした!

 

投稿者: 泉 純太郎

演奏依頼、レッスン依頼受付中! 個人レッスン、グループレッスン、吹奏楽指導etc 「身体の構造」に基づいた「身体の使い方」も教えます! フリーの打楽器奏者としてオーケストラや吹奏楽を中心に活動しており、現在までに日本センチュリー交響楽団、Osaka Shion Wind Orchestra(旧称:大阪市音楽団)、関西フィルハーモニー管弦楽団、京都市交響楽団、京都フィルハーモニー室内合奏団、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団、モーツァルト室内管弦楽団、エウフォニカ管弦楽団、日本ウィンド・アンサンブル『桃太郎バンド』、などのオーケストラ、吹奏楽団の演奏会に客演奏者として出演している。 アレクサンダー・テクニーク教師になるべくBodyChanceにて勉強中!

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