今回は
・4台フルに使った時の楽器間の移動が上手くいかない
について書こうと思います。
※例によって座奏であることを前提に書いています!
これは研究会常連の池内さんのお悩み。
もっとスムーズに移動したいということです。
ここで考えたいのは、ティンパニの演奏において、楽器間の移動はどのようにして行われているか、という点です。
まずは隣同士の太鼓を移動する場合のことを考えてみましょう。
楽器間の移動というのは、つまりマレットヘッドを他の太鼓に移動させる行為のことですよね。
この時の体の動きはどうなっているでしょうか。
仮に右手を右から左に移動すると、
・二の腕を軸に肘から先の角度(向き)を変える
・体をわずかに左に向ける→右肩の位置が少し前に出て左側の太鼓に近くなる(左肩もわずかに動く)
という動きになると思います。
また、細かいパッセージの場合、右の太鼓はフレンチ・グリップ(親指が上)で叩き、肘から先を回して手の甲を上に向け、左の太鼓はジャーマン・グリップ(手の甲が上)で叩く、という人もいるかもしれません。
下手くそですが図を描いてみました↓
隣の太鼓に移るだけでもこれだけのことをしているんですね。
一つ飛ばし、二つ飛ばしで移動する場合は、これらの動きの幅や角度は大きくなります。
さて、ここで注意したいのは体の向きの変え方です。
中高生の演奏で、体全部の向きを変えているのを時々見かけます。
何故か彼/彼女らの多くはこの時ぴょん!と飛び上がって反対を向きます。(空中半回転ひねり?)
(ちなみに彼女らは多くの場合立奏です)
そして、「先生、移動が間に合いません!」と質問がきます。
思わず「そら間に合わへんわ」と言ってしまったのは一度や二度ではありません(笑)
もちろん、体の向きを変える充分な時間があり、1台、または隣り合った2台をしばらく叩き続ける場合、この方法は有効です。(それでも飛び上がる必要はないですが)
でも、素早く移動したい時には全くもって不向きですね。
では、両足の置き場所をそのままにして体の向きを変えるにはどうすればよいでしょうか?
*話を座奏に戻しますが、ある程度立奏でも同じです。
・胴体をひねる
・股関節を使って胴体全体の向きを変える
・回転するタイプのイスに座っている場合はそれも利用できますね
この三つの動きを合わせることで足の置き場所を変えることなく体の向きを変えることができます。
ここでAT教師の山口氏がアドヴァイスしていたのが、動きたい方向に視線を動かして、それに体がついていくイメージを持つと感覚をつかみやすいのだそうです。
実際の演奏では楽譜や指揮者に目線を残したいですが、慣れてくればこれも問題ないそうです。
さて、スムーズに移動できるようになった池内さん。
動きが良くなったことで、音の輪郭がはっきりして、音程感も増したように感じられました。
動きの改善が音に影響するということが良くわかるアクティビティでした!