打楽器アンサンブルの古典的作品が収録されているCDです。もっとも、タイトルトラックにもなっている某曲はネタとしか思えませんが(笑)
演奏は世界的打楽器アンサンブルのアマディンダ・パーカッション・グループ。ジョン・ケージの打楽器作品全集を完成させた強者たちです。
そして注目は協演のピアニスト、ゾルターン・コチシュ。指揮者としても活躍する名手で、近現代音楽に造詣の深い演奏家です。
アマディンダ・パーカッション・グループ Amadinda Percussion Group
ゾルタン・コチシュ(ピアノ) Zoltan Kocsis (piano)
Aurel Hollo、Benedek Toth (percussion)
エドガー・ヴァレーズ (1883-1965) Edgard Varese
イオニザシオン(イオニゼイション/電離) Ionisation
エドガー・ヴァレーズのイオニザシオンは最も古い打楽器作品といわれている曲です。(ここで言う打楽器作品とは、音程の伴わない楽器を中心とした西洋芸術音楽・・・いわゆるクラシック音楽のことです。)13人もの打楽器奏者を必要とする大規模な曲です。打楽器奏者なら1度は取り組みたい曲の1つです。
カルロス・チャベス (1899-1978) Carlos Chavez
トッカータ Toccata
カルロス・チャベスのトッカータも古典的な打楽器音楽の1つです。6人の奏者による、急‐緩‐急となる3つの楽章から構成されています。1楽章は膜質楽器のみのアンサンブルで、1人1人はかなり少ない音符のみを奏しますが、それらが絡み合うことで1つの旋律的なリズムが浮かび上がります。アンサンブル能力が必要とされる曲です。2楽章は打って変わって「静」の音楽となります。鍵盤打楽器と金属打楽器が不思議な音響を奏でます。3楽章は「動」の音楽に回帰しますが、膜質楽器のみではなく、マラカスやクラベス、グロッケンなども使用されます。曲想のめまぐるしい変化が聴き所です。これも打楽器奏者として1度は取り組みたい曲です。
ジョン・ケージ (1912-1992) John Cage
4分33秒 4’33”
さて、このCDにはなぜかジョン・ケージの4分33秒が収録されています。現代音楽の知識がある方ならご存知であろうこの曲、もちろん打楽器作品ではありません。「会場を満たす全ての音が音楽」という、音楽の常識を覆してしまった曲(?)です。奏者は一切音を発しないのですが、なぜ本CDに入っているのでしょうか(笑)
ジョン・ケージ/ルー・ハリソン (1917-2003) John Cage-Lou Harrison
ダブル・ミュージック(二重音楽) Double Music
ケージとルー・ハリソンの共作、二重音楽はハリソンらしい民族色が色濃く現れています。
ジョン・ケージ John Cage
アモール Amores
再びケージの単独作品。アモールはプリペアード・ピアノと打楽器のための作品です。1楽章はピアノのみですが、プリペアードなのであたかも打楽器作品のような効果を得ています。2楽章は9つのトムトムとポッド・ラットル(マラカスのような楽器でしょうか・・・。)による3重奏。3楽章は7つのウッドブロックによる3重奏。4楽章は再びプリペアード・ピアノのソロ。本当にあたかも打楽器アンサンブルであるかのようです。この曲のタイトル、”Amores”が「愛」を表しているのかどうかは不明。
ジョン・ケージ John Cage
第3コンストラクション Third Construction
第3コンストラクションは比較的よく演奏されるケージの打楽器四重奏作品。ケージにしては・・・という表現が適当かどうかはわかりませんが、割とノリノリ系です(笑)1度やってみたい曲です(^^)
「4’33″(アマディンダ・パーカッション・グループ)」への3件のフィードバック